ゆりかごから墓場まで。
文字は人の一生についてまわる
フォントワークスの製品には、『マティス』のように特定の作品のイメージと結びつき、『エヴァ明朝』のように愛称で呼ばれているフォントも多い。それがプロのみならず作品のファンに愛されているのも特徴だ。最近でいえばTVアニメ『キルラキル』のタイトルに採用された書体『ラグランパンチ』が記憶に新しい。
三原:「フォントをアダ名で呼んでいただけるようになったのも、その起点はエヴァ。お陰さまでうちの営業は『エヴァのフォントを作っている会社です』で自己紹介できるんです。新入社員が入ってくると、初日に『マティス』をPCで打ち込んで、『うわ!本物だ!』と感激してたりする子もいました。そんな会社です(笑)」
柴田:「エヴァ以降はTV局さんにもうちのフォントが広がりました。だからTVでも職業病のように文字を観てますね。『クワッ!』と目を見開いて、それが他社さんのフォントだと落ち込んだり(笑)。私自身、大学は九州芸術工科大学で、映像に関するひと通りの技術を触ってきた人間なんです。写植もやったし、生の16ミリフィルムをスプライサーで切って貼って…なんてやってきたので、昔からインディペンデントな精神を持っているエヴァには共感できる部分も多くて」
三原:「ファンの間で『マティス』が広がったのも、何か通じるものがあると思いますね。自分で何でもやってみるという精神こそ、エヴァが生まれたひとつの原動力だったわけで。これは私個人の考えですが、フォントってもはやデザイナーだけのものではなく、もっとパーソナルなものになっていくと思うんです。例えば、中高生がプリペイドカードを使って、ワンコインでマイフォントを買う…そんな時代はすぐそこに来ているように思うんですよ。それこそ、何万字もの漢字を1字ずつ手彫りしていた活字の時代には、想像もできなかったことだと思いますけどね」
柴田:「文字って人が生まれて命名されるときから、死んで墓標にその名を刻まれる瞬間まで、人間のライフにずっとついてまわるもの。世の中のあらゆる分野に攻めていけるし、マーケットはいくらでも活性化していけるんです。あとは、その可能性に気付いてるメーカーが日本にどれだけあるか?ってところなんですよね。一方のエヴァは、アニメビジネスをこれだけ多方面に広げた先駆者として、我々に本当に多くの可能性を見せてくれた存在。弊社の基本理念として『できない』とか『無理』とは言わない、常に前向きに考えるというのがあるんですが、そこはエヴァも同じだと思う。これからもガッチリ着いていきたいですね」
フォントワークスは、福岡に拠点を置く、フォントメーカーです。
フォントワークスのフラグシップフォントである「筑紫書体」を筆頭に、日々の生活でもよく目にしている高品位でバラエティ豊かな書体を提供しています。
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