エヴァクリ展開催。
そして念願の
エンタメ事業部へ!
RADIO EVAのメンバーと初対面した彼は、当初通販サイトで商品を販売することを目指していた。しかしディレクターの武藤氏と意気投合した結果、この出会いから間もなくして不思議なイベントが生まれることになる。それが'10年夏に『モノゾク』で行われた『エヴァクリ展』だった。
「当時RADIO EVAはTV番組でも取り上げられて認知度を上げていましたが、そもそも彼らは通販サイト主体でリアル店舗がない。パルコと何かやるなら、ぜひイベントをやりませんかと提案いただいたんです。一方、ちょうどそのころ新劇場版の『全記録全集:破』と、同作の監督である鶴巻氏がガイナックス時代に手がけたオリジナルアニメ作品『フリクリ』のブルーレイBOXの発売が近かった。“いっそこれらを全部混ぜてみたら…?”という突飛なアイデアから生まれたのが『エヴァクリ展』なんです(笑)。監督は同じでも『:破』は株式会社カラーの作品ですから、版元が違う作品を同時に紹介するという試み。それでも幸い両社に快くOKいただき、会期中は鶴巻監督によるサイン会も開いています。RADIO EVAには、そのときにイベントのオリジナルグッズを作っていただきました」
ヱヴァンゲリオンとフリクリ=エヴァクリ。監督が同じとはいえ、制作会社も作品の雰囲気も全く違う2作品を同時に扱うというコンセプトからして個性的だった「エヴァクリ展」は、約1ヶ月間の会期中にNHKの番組から取材もされた。
「イベントスペースは小さかったけれど、僕としてはすごく手応えがありましたね。アニメの展覧会って原画や場面写真をただ並べるものも多いですが、『エヴァクリ展』はパルコらしいヒネりがあったし、それをRADIO EVAが作るお洒落な商品にまでしっかり落とし込めた。そしてこの展覧会は、かつての僕の職場である広島店などにも巡回できたんです。武藤さんとは、その後も個人的なお付き合いが続きました。本来は彼もクラブでDJをしていたり、ファッションや音楽の世界で仕事をしてきた人。フィーリングも自然と合ったんです」
不本意だった通販部門への配属からつかんだ、コンテンツビジネスという1本の糸。『monozoku』で実績を作った手塚氏は、'11年にいよいよ念願のパルコ本社・エンタテインメント事業部へ配属される。
「異動当初は通販仕事も手がけつつ、渋谷のパルコミュージアムで開催される展覧会の企画運営などを担当していました。僕が最初にやったのが、韓国の俳優チャン・グンソクさんの展覧会と、弊社エンタメ部がコンサートをプロデュースしていた小沢健二さんの展覧会。いずれも発案は僕ではないのですが、タイミングが良かったのかどちらもかなりの入場者数を記録したんです。これらの運営を成功させた実績を買われて、渋谷のミュージアムや各地のギャラリー担当から展覧会のネタ出しを頼まれるようになりました」
それからまた手塚氏はエヴァと不思議な再会をすることになる。'12年初夏のころ、仕事ではなくあくまで個人的な付き合いとして、RADIO EVA元ディレクター・武藤氏と酒を飲んでいた席でのことだった。