Interview #023000点のエヴァンゲリオン・グッズを作った男

株式会社ムービック

聖闘士星矢にセーラームーン。
商品作りの基礎を作ったヒット作

大人世代も含むアニメファンに向けたグッズ専門店。いわゆる“アニメショップ”が生まれたのは、『宇宙戦艦ヤマト』に端を発する第1次アニメブームのころだ。現在、国内最大手に成長を遂げているアニメイトは、少年たちがガンプラに夢中になり、『超時空要塞マクロス』が放映された'83年に誕生。商品は主にポスターや文房具で、現在に比べるとバリエーションは少なかった。
「僕らにとって、商品作りのターニングポイントになったアニメ作品がいくつかあります。エヴァもそのひとつですが、アニメグッズにおける商品展開の基礎は、実はそれ以前に少しずつ確立されてきたものなんです。例えば'80年代中盤までは、『機動戦士ガンダム』や『うる星やつら』など、当時アニメファンが夢中になっていた作品がマーケットの大半を占めていました。その状況をガラッと変えてしまったのが、'86年のTVアニメ『聖闘士星矢』です。アニメイトの商品作りで、作品単位ではなく個々のキャラクター単位でモノ作りをしたのは、実は星矢が初めて。例えば『うる星やつら』だったら、ラムちゃん単体の商品はあっても、しのぶだけの商品ってあり得なかった。だけど星矢では、メインとなる5人の青銅聖闘士それぞれの商品化が行われたんです。これを求めたのは女の子のファンたち。少年漫画を楽しむ女の子はそれ以前からいましたが、本当に広がったのは星矢のときですね。いまいわゆる“乙女ロード”にいるような女の子たちの基礎も、あそこでできたと思います。今までは1種類でよかったアイテムが、青銅聖闘士だけで5倍になるわけですから(笑)、モノの種類もぼわーっと広がりました。続いてこの流れを加速したのが、キャラクターと声優をセットで当てた『鎧伝サムライトルーパー』。ビデオやLDなどのパッケージを売るために、声優が出演するイベントを開くっていう形は、トルーパーが確立したといえます」

オタク・ガールズが覚醒を果たし、迎えた90年代。今度はあの作品が男性アニメファンのハートを射抜く。葛城ミサト役の声優・三石琴乃が、主人公・月野うさぎを演じた『美少女戦士セーラームーン』だ。
「僕はこの時代、模型の世界に足を踏み入れました。マスプロダクトではなかったガレージキットを、ウチのようなグッズメーカーではおそらく初めて作ったんです。当時、ムービックはセーラームーンにおけるガレキの版権を独占的に取得しました。ガレキなんて誰もそんなに商売になるとは思っていない時代でしたが、当時組んでいた原型師がカンのいい人で、第1話の放映を見て即『版権をとってくれ』っていうんです。それがすごく売れました。当時のワンダーフェスティバルで、僕らのブースの待機列が会場を一周するくらいにね(笑)。そしてセーラームーン以後は、男性・女性向けそれぞれに、過去のヒット作の成功体験に乗っかったようなアニメが次々と出てきた。長年アニメを観ているとわかるんですが、そういうループに入ると、あとは縮小再生産みたいな傾向になっていくんです。次に何が流行るかなんて、もう誰にもわからない」

それは、爆発的なヒットが久しく生まれていない、現在のTVアニメ界にも似た状況だったのかもしれない。
「誰もがそう思ってたとき出てきたのが、エヴァンゲリオンだったんです」

現在、池袋P'パルコ内にある『EVANGELION STORE TOKYO-01』店頭に置かれた綾波レイの等身大像と。

Column

  • 01
    アニメショップの草分け的存在とは?

    大人世代も含むアニメファンに向けた専門店として初めて登場したといわれるアニメショップ。それは、今はなきアニメ雑誌『アニメック』や『ファンロード』などで知られた出版社・ラポートが運営していた『アニメック』だった。最初の出店は新宿で、のちに北海道から九州まで10数店舗を展開。同店の存在は、その後登場したさまざまなアニメショップに少なからぬ影響を与えた。