Interview #05フィルムに
残されていた執念

ソニーPCL株式会社

約1年を費やした
Blu-ray版の
カラコレ作業

一方のBlu-ray BOXは、TVシリーズ全話と旧劇場版をブルーレイ化したこれまた初の製品。こちらは先のDVD BOXとは180度違うコンセプトのもと制作された。

雪田「DVD BOXの収録映像は、いわばTVシリーズの真のオリジナル。もうひとつのBlu-rayには、同じTVシリーズでも、そこにいまの技術で加えられる最善の策を尽くした映像を収録しています。いずれもキングレコードの担当者だけでなく、庵野秀明監督の助手の方とも密にコンタクトをとりながら作業していきました」

そもそもエヴァTVシリーズのDVDが最初に発売されたのは'97年のこと。その後の'03年に、庵野秀明氏が再監督したSD画質のリニューアル版が発売された。ソニーPCLはこのとき初めてエヴァンゲリオンの映像ソフトを手がけたが、今回のBlu-ray化では、当時庵野氏の指示によって設定された色味や修正をベースにHDリマスターを行った。

雪田「ベースがあるといっても、作業としてはテレシネからのやり直し。しかも使用する機材や技術は'03年当時から大きく進化していますから、'03年当時にSDでテレシネした画と、いまの機材を使ってHDでテレシネした画では全くイコールの色味にはなりません。ただ'03年のDVDで庵野さんがOKした色味が一度完成しているので、今回はその色味にどう近づけていくかという点がひとつのテーマでもありました。そこが最初の難関でしたね」

藤森「'03年当時と比べると、視聴者が映像を観る媒体も変わっています。当時はまだブラウン管が多かった時代ですが、今はハイビジョンの16:9の液晶モニタが主流。そこで観た時に、当時のDVDの色と見比べて違和感がなく、しかもよりキレイに、クリアに見える色を探っていく必要がありました。実はこのカラコレが、想像以上に時間のかかる作業だったんです。他の一般的なアニメ作品ではシーンごと、あるいは作品一本を通してまるっとしたデータを当てはめて色調整することが多いのですが、エヴァのブルーレイとなるとそうはいかない。本当にワンカットずつ色味を調整しているんですよ。1話につき400カットくらいあるのを、ひとつひとつ。1話につき少なくとも3~4日はかかってるんです」

雪田「そう。実はこの作品、カラコレだけで1年かかってます(笑)。担当したカラリストは'03年のDVDのときと同じスタッフでしたが、彼も他の仕事が入っていますし、スタジオも常に空いているわけじゃない。もろもろのスケジュールを鑑みると、1ヶ月で3~4話仕上げるのが精一杯で。カットによっては、『このカットのこの色だけを強調して欲しい』といった細かいニュアンスを含むオーダーもあり、そのために何重レイヤーもマスクを切って作業した箇所もあります。その辺のさじ加減も、監督助手の指示のもと作業していきました。アニメ作品のソフト化にあたって、本編の制作スタッフとこれほど密にやりとりするケースは決して多くはないと思いますね」

『新世紀エヴァンゲリオン Blu-ray BOX NEON GENESIS EVANGELION』

『新世紀エヴァンゲリオン』TVシリーズ全26話のHDリマスター版を収録。また、劇場版である『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』のHDマスター版も同時収録する。特に『シト新生』の『EVANGELION:DEATH』上映版は初ソフト化。

本編以外の特典としては、様々なTVスポット、ミュージッククリップ、そして今回のBlu-ray発売に際したPR映像までをしっかり網羅。なかでも注目したいのは、なんとメインキャストのオーディション時の模様を収録した音声特典だ。秘蔵素材の数々を余すところなく収録するその姿勢は、新劇場版の『全記録全集』にも通じるところがある。Blu-ray10枚組/3万8000円+税/2015年8月26日キングレコードより発売